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「新たな教師の学びの姿」を支援する! 特定の強みや専門性を有した教師へのスキルアップを

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 これからの教師には複雑化・多様化する学びの変化に対応し、義務教育9年間に通じる幅広い知識や、新たな領域の専門性を身に付けるなど強みを伸ばす必要があり、その資質・能力が自身のキャリア形成にとっても重要視されるようになっている。こうした中、現職教師が働きながら学べる機会を提供し、スキルアップを実現できるのが「大学通信教育」だ。ここでは、メディア授業により、多様な教科・校種の免許を取得できる大学通信教育の魅力を紹介する。

教師が誇りをもって働ける職場へ
 近年では多忙化する教師の実態が「ブラックな職業」と認知され、そのことが教員採用選考試験の倍率の低下につながり、教師の質の低下をもたらすのではないかと危惧されている。しかし、民間団体等の調査によれば、小中高校生の将来なりたい職業で、教師は依然として上位に位置している。それは、教師という職業には子どもたちの人生に影響を与え、成長を実感できるという他の職業では得られない魅力があるからだ。
 だからこそ、学校は「働き方改革」を筆頭に、教師が誇りをもって働ける職場に改めていくことが必要である。と同時に、教師には子どもの主体的な学びを支援する伴走者としての役割を果たす能力を身に付けることが求められている。したがって、そうした資質・能力を生涯にわたって高めていく姿勢を応援できる職場環境へとシフトしていくことも、学校が目指す「働き方改革」の大事な視点となる。

メディア授業の質を高めてきた大学通信教育
 昨年12月に中教審が取りまとめた「令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」の答申においても、新たな教師の学びの姿の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成がテーマになっている。すべての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びを目的とした「令和の日本型学校教育」を実現するためには、時代の変化に応じた高い資質・能力を身に付けた教師の安定的な確保と、教師のライフサイクルの変化も踏まえ一人一人が生き生きと活躍できる環境の整備が必要だからだ。
 こうした中で、「大学通信教育」は現職教師が働きながら多様な教科・校種の免許を取得する機会を提供するとともに、不足する高校の情報や地理・歴史・公民、英語など専門性を持った教師を養成する手段として、より一層重要な役割を担うようになっている。
 おりしも、コロナ禍による学びの保障として大学等でのオンライン授業が普及したことで、従来から同様の手法で授業を実施する大学通信教育が脚光を浴びる形となった。オンライン授業では、対面授業とは異なる本人確認から始まり、学力評価の仕方や綿密なコミュニケーションを図ることが難しいことから、このような通信課程でのノウハウを持つ大学通信教育における授業の質に対する評価が高まったのだ。
 通信教育を行う大学・大学院・短期大学を会員とする私立大学通信教育協会では、メディア授業における独自のガイドラインを制定し、各大学がより高い水準の教育に取り組むよう努めてきた経緯がある。しかも、今年3月には新たに改訂版を制定し、さらなる向上・充実を図っている。

実務経験をもとに教員免許を増やせる
 このようにメディアを使った授業の質を高めてきた大学通信教育は、インターネット等の情報通信技術の進展もあり、現在では通信制学部において卒業に必要な単位数=124単位全てを「メディアを利用して行う授業(インターネット等)」で修得することが可能になっている。
 通信教育課程で取得できる教員免許は普通免許状で、小、中、高、特別支援学校、幼稚園教諭、養護教諭、栄養教諭の免許状があり、それぞれ専修、1種、2種に分かれている。免許状取得の代表的なものとしては、

 (1) 新たに教員免許状を取得する場合
 (2) 現在持っている免許状を上位の免許状に上進させる場合
 (3) 現在持っている免許状を基にして同校種の他の教科の免許状を取得する場合
 (4) 教職経験を有する者が隣接校種免許状を取得する場合

 ―の4つがある。

 その上で、現職教師にとって大学通信教育の魅力は、実務経験があれば、新しい単位を取得して教員免許を増やせることだ。例えば、中学校の普通免許状を持っている教師が小学校の2種免許状を取得する場合は、実務経験3年+新たな単位習得(12単位)によって取得できる。
 したがって、これまでも大学通信教育は、教師の新たな免許状取得や現職教員の別校種・別科目の免許状取得、免許状の上進は、長年にわたり大学通信教育が最大の受け入れ先になってきた経緯がある。また、教員免許状の更新講習において通信教育の方法が取り入れられ、その役割を大学通信教育実施校が担ったという実績もある。近年では「幼保連携型認定こども園」における「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両免許取得の場としても貢献している。
ましてや、GIGAスクール構想によって環境整備が整い、ICT活用スキルが向上した教師にとっては、通信教育を利用することへの敷居も低くなり、今後さらに大学通信教育を自身の学びを広げる機会として活用することが期待されている。

現職教師の新たな免許状の取得を促進
 文科省においても、これからの教師には学校段階間の接続を見通して指導する力や、教科等横断的な視点で学習内容を組み立てる力などがより一層重視されること。加えて、そうした力を備えることが、教師自身の教職生涯をより充実したものにするとの考えから、現職教師による新たな免許状の取得を促進していく意向だ。
 このため、昨年4月より小学校の免許保有を促す観点から、小学校と中学校の教職課程の間において科目や専任教員の共通化の範囲を拡大するとともに、小学校免許状の教職課程設置の際の科目開設や専任教員配置の要件の緩和を行っている。また、「現職教員の新たな免許状取得を促進する講習等開発事業」では、大学、教育委員会、民間教育事業者等を対象に小中学校免許状併有のための認定講習等の開発・実施を公募によって進めている。ここでは近年問題となっている免許外教科担任の縮小もねらいになっており、昨年度には高等学校情報科の免許外教科担任の縮小に向けた講習・研修制度も追加公募された。
 学校教育に対する高い社会的関心を背景に、教師の養成・採用・研修については、内閣府や教育未来創造会議といった他の会議体からも提言や要請も相次いでいる。その中では、教員資格認定試験の試験区分の拡大や実務経験を加味した一部試験の免除などの見直し、理数やICT・プログラミングなどの専門家の活用に向けた教員免許制度の改革などが盛り込まれている。また、一部の自治体では、特別免許状の授与を前提に、高度理系人材や英語のネイティブ教員、ICTのスペシャリスト、スポーツで優秀な活動実績を有する者を対象とした採用選考試験の実施も始まっている。
 このように時代の要請に応える教師、専門的な強みを持った教師へのニーズが高まる中で、通信教育を行う大学の教育課程にも変化が求められているのは事実だ。同時に、そこにはメディア授業の強みをもっと活かした履修の工夫や進化、個別相談等のサポートの強化にも取り組んでいく必要がある。

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