真に支援が必要な子どもを見つけ出す取り組みが進む「こどもデータ連携」
4面記事説明を行う小森智子氏
内田洋行
教育関係者向けのセミナー&展示会のイベント「New Education Expo」が、6月1~3日に東京会場で、6月9~10日に大阪会場で開催され、多くの教育関係者でにぎわいを見せた。
同イベントは今回で28回目を迎え、ChatGPTなどの生成AIとの教育現場の向き合い方についてのセミナー、STEAM教育やPBL教育の取り組みを紹介するセミナーなど、120を超える多彩なセミナーを実施。さらに、最新の教育向けシステム・製品が多数、展示された。
複合的に子どもの状況を確認できる「子どもデータ連携」
東京会場では、(株)内田洋行が報道関係者向けに、「最先端な次世代型こどもデータ連携の取組」について紹介した。
「こどもデータ連携」とは、子どもや家庭に関する状況や支援内容等に係るデータを分野横断的に最大限に活用し、真に支援が必要な子どもなどを見つけ、ニーズに応じたプッシュ型の支援を届ける取り組みのこと。
内田洋行ICT基盤システム開発部 課長の小森智子氏は、はじめに「こどもデータ連携」について、国の動きや先進的にこども家庭庁の活用調査事業を行っている開成町の事例を発表。
次に、データ連携の具体的な活用例を紹介した。ダッシュボードに子どもの学習時間と成績のデータを連携し、「学習時間が長いにもかかわらず、成績が低い子ども」を見つけ出す。その情報をきっかけに、該当の子どもの出欠状況・学習時間帯、家族構成などさまざまな情報・データを連携して、複合的に子どもの状態を確認することができることを示した。
さらに、データ連携において、ネットワークの構成やセキュリティーの問題などの課題を提示した上で、課題解決ができる内田洋行の強みを紹介。自治体系、校務系など異なるセグメントのネットワーク構築およびクラウドサービス構築・運用の経験があることなどを挙げた。
多様なデータを用いて、総合的な分析が可能に
後半は、同社の「こどもデータ連携」の仕組みについて説明した。首長部局で保有しているデータ、学校で活用しているデータなどを集約する、同社の「こども見守りシステム」について、連携したデータを可視化するダッシュボードや、ケアの必要のある子どもを発見する「リスク判定・データ分析機能」を紹介。
実際に、「リスク判定・データ分析機能」についてのデモンストレーションが行われた。データの条件ごとに判定ルールを決め、それらを組み合わせて総合的に分析をする。結果として、「ヤングケアラーが○名、いじめが○名…」と表示される。さらに、ヤングケアラーの項目をクリックすると、該当する子どものさまざまな情報が詳しく提示された。
最後に、データを連携する前の課題を挙げ、デジタルデータの不足や整理が不十分で活用できないデータについて、同社のシステムでの解決策を紹介した。今後のさらなる「こどもデータ連携」の活用が期待される形で、会は終了した。