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写真を通して働く人の視点を広げる

5面記事

企画特集

左から國光妙子教諭と小崎恭弘校長

一瞬を切り取って表現する醍醐味

 アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」(主催=(株)アイデム)は、「子どもたちが『働く』ことについて考えるきっかけにしてほしい」という願いをこめて2005年にスタートした。キャリア教育の一環としてコンテストに取り組む学校も多く、2022年度はコロナ禍にありながら総応募数は過去最高の9425点にのぼった。今回は、このコンテストに2013年から応募し、2019年には団体奨励賞に輝いた大阪教育大学附属天王寺小学校の小崎恭弘校長と教務主任・國光妙子教諭に取り組みの様子や成果について話を伺った。(以下敬称略)

 ―キャリア教育の取り組みについてお聞かせください。

 國光 働く人と触れ合って五感で感じることは、夢と仕事を結びつけることにつながります。本校では、入学時から各自キャリアパスポートを持ち、学校行事のたびにそのときの気持ちを書いています。それをノートにまとめて6年間保存する活動を続けているのは、そこに子どもたちの将来の夢につながる要素がたくさんあるからです。
 授業では、1、2年生は自分たちの生活を支えてくれる人という視点を持ちながら働く人との触れ合いを大事にします。3、4年生では社会の一員としてできることを考えるなど視野を広げます。5、6年生では受験する中学校を決めるにあたり、自分がなりたい将来の姿をイメージして、より豊かに成長できる環境を選ぶように教育しています。
 小崎 5、6年生の家庭科では、どういう仕事をして、どのような人生を歩いて行くかというライフデザインも描きます。本校のテーマは「個が活きる学校」で、社会や集団の中で何を大切にし、どう輝いて生きていくかを考えます。さまざまな職業人を招いてお話を伺ったり、子どもたちがインタビューをしたりするのもその一環です。このコンテストは、全学年を対象にした夏休みの自由参加の宿題の一つにしていますが、とても人気です。写真を通して身近な人の仕事とつながっていけるのがいいですね。

 ―低学年の児童からの応募も多いのですね。

 國光 撮影については、写真を撮るマナーも含めて入学時から指導し、ICT機器の取り扱いについては、1~3年生まで3人1組の活動の中で身につけています。3年生になるとタイピングもスムーズです。

 小崎 応募写真につけるコメント文もなかなか上手です。本校の子どもたちは読書家が多く、ビジュアルと言語をつなぎ合わせて表現することは苦にならないようです。力を入れている言語活動の成果が表れていると感じています。

 ―子どもたちのコンテストの取り組みの様子はいかがですか。

 小崎 応募が行動力を後押ししてくれているようで、憧れの駅員さんを撮った子どもは「コンテストだから声をかけることができた」と言っていました。また、昨年1年生がGoodJob賞を受賞したことは、周りの子どもたちの刺激になりました。コンテストの受賞作品集を見て、テーマや一瞬の切り取り方のヒントにすることもあります。応募の告知は、昨年度の入賞作品と合わせて校内に提示もするので保護者の目にも入り、親子の会話のチャンスになっているようです。

 小崎 GoodJob賞の作品の被写体は「ふとん職人さん」で、生活の中にある働く姿、そこからの気づきや思いが1枚の写真にあふれていました。中小企業が多い大阪らしい作品で誇らしかったです。働く場面を一瞬で切り取って表現する写真だからこそ働く意味を明確に捉えることができるのでしょう。

 國光 数年前、私の教え子が賞をいただいたのですが、暑い中お父さんが一生懸命働いている姿を見て「反抗期だった子どもに変化がみられた」と、お母さんがおっしゃっていました。家族のために働いてくれている実感を持つことができ、父親への見方が変わったのかもしれません。

 ―今後、このコンテストに期待することはありますか。

 小崎 今、日本には15000種以上の職業があるそうです。社会が複雑化、多様化し、仕事の姿が見えにくくなっている中で、このコンテストへの参加は職業の幅広さに気づくきっかけになると思います。

 國光 子どもたちには、自身が楽しく働くこと、人や社会の役に立てる大事ものとして仕事を捉えてほしいと思っています。それには、自分の苦手なことを分かった上で、得意なことをどのように活かしていくかがとても大切です。被写体と向き合うときに、そのようなことも実感として感じてくれるだろうと期待しています。

第18回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」応募要項

テーマ
 「はたらくすがた」
 あなたの身のまわりで働く大人の姿を撮影してください。

応募資格
 小学生・中学生・高校生(学校やクラス単位での応募も大歓迎)

応募方法
 専用応募用紙に必要事項を記入し、写真を貼りつけて応募。
 ホームページ(https://www.aidem.co.jp/csr/photocontest/application/index.html)からのweb応募も可能。

応募締め切り
 9月11日(月)(当日消印有効)

学校応募担当の先生へ
 ・応募用紙は必要部数を送ります。
 ・記入・貼り付け面のみのコピーも使えます。
 ・学校で取りまとめて応募の際は、応募者リストも送付ください。
 ・応募者リストはホームページよりダウンロードできます。

応募に際しての注意事項
 ・必ず、写る方に撮影と応募の許可をもらってください。
 ・応募作品は返却しません。
 ・入賞候補者には選考途中で元データを提出してもらいます。デジタルデータ・フィルムは入賞発表時まで必ず保管してください。
 ・入賞作品の著作権は撮影した方に帰属します。ただし、受賞後5年間は主催者(株式会社アイデム)が優先して使用します。
 ・入賞作品はアイデム写真コンテストの広告及び広報物に使用します。このため受賞した方は主催者が各媒体で作品を使用することをご了承ください。

応募先・問い合わせ
 〒160-0022
 東京都新宿区新宿1―4―10
 アイデム写真コンテスト事務局
 TEL=0120-938-989(受付時間 平日10:00~17:00)

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