不登校が少ない台湾

　過日、台湾の実業家と懇談した。話は不登校事情から始まった。日本はなんでこんなに不登校問題があるのか、その原因は何か、などと尋ねられた。
　「いじめですか」との問いに、「確かにそれも要因の一つですね」と答えると、「弱いですね」と感想を言われた。
　続けて、「台湾で不登校になったら親が罰せられますから、不登校は極めて少ないのです」という。
　それを聞き、ドイツも同じだったことを思い出した。親が罰せられるという価値観が日本にはない。日本では、保護者が子供に義務教育を受けさせなければならない。
　確かに、何故、台湾で出来て日本では出来ないのか。日本人を弱体化させる力が働いているのではないのかとその実業家は指摘してきた。返す言葉に窮した。
　日本における家庭教育の弱体化は、日本を理想としている彼には受け入れたくない現実なのである。台湾やドイツで出来て日本で出来ない事はない。今一度考えなければならないと痛感した。
（おおくぼ・としき　千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事）