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一刀両断 実践者の視点から【第316回】

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容認できぬ「処分前の離職」

 不祥事をはたらいても、発覚後、離職していたり定年退職していたりしたらおとがめなしという制度が現在もまかり通るのだから呆れてしまう。
 またしても、《女子生徒の楽器くわえる指導、校長ら口頭注意 当人は離職で対象外》(産経新聞)という見出しの記事が出た。本人は謝罪もせずおとがめなしという現実がある。
 免職される前に依願退職したら退職金も貰える。離職してしまったら処分できないという不可思議な事が公務員制度には存在する。
 ある時、旅行業者に圧力を掛けて接待をさせていた小中体連の幹部があまりに悪どいので処分の機会を伺った事がある。とても見過ごせないと3月31日の23時30分に逮捕状を持って警察が訪問をした。後30分過ぎていたら手も足も出せなかったわけである。
 この根拠がはっきりと示されないままに現在まで来ている。この理不尽さは解消されないでよいのだろうか?
 法治国家とは名ばかりで管理規則も服務規程も解釈や自治体の裁量で如何様にでもされてしまう。極めていい加減なのである。敏腕弁護士に任せると何とかなる事実がある。カルロス・ゴーンの国外逃避からでも明らかではないだろうか。
 管理主事を務めていたころ、表立って分限免職処分の発令にこぎつけたことがある。その際には3人の弁護士を相手に一人で論戦を交わした。辞令を渡して帰庁し教育長に報告した際には、「責任はお前が取るように」と言われて驚いたが、落胆するよりも笑えてしまった事を思い出す。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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