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一刀両断 実践者の視点から【第309回】

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論説・コラム

子どもの「固定」が必要な場面

 《小学校教諭、粘着テープで児童の足固定》(共同通信)という見出しの記事ではその経緯が分からない。記事によると、教諭への処分を検討するという。
 ただ、そうしなければならなかったのなら話は変わってくる。私は同じようなことをした事がある。
 富士山へ課題を持つ子ども達と登山をして16年になるが、ある時、半身麻痺の女子中学生も引率した事があった。
 登りはよいが下山になると足が麻痺している為に、皆で代わり代わりにおぶって下山した。するとおぶってくれている者の背中からの体温と本人の背中に当たる太陽熱でサンドイッチ状態になり熱中症初期になってしまった。
 仕方なく馬を呼び寄せて乗せたが半身が麻痺している為に左右に振れて落馬する事態が想定された。そこでガムテープで体を鞍にぐるぐる巻きにした。
 まるで悪人を護送しているような風にも見える事になる。下山を開始し気分が良くなったせいか、登る人々に「こんにちは」と、明るく声を掛けたがその風体は護送である。さて、この場合他に手があったのだろうか。
 今回の記事にはその経緯や意図がまるっきり読み取れない。ある意味、こんな酷いことをしていると意図的に印象づけたいとした記者の本心が先走った記事と私には感じられる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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