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一刀両断 実践者の視点から【第308回】

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 ゼレンスキー氏が来日して直接の対話を行なった。
 私には、質問を受け、平和への行動は諦めない対話にあると答えた事がある。「あなたは元校長として、日本の教育者として戦争の反対をどのように教えていますか?」と問われた。答えた時の事が蘇ってきた。
 彼はコメディアンであり政治家としての経験もなく大統領となったらしい。人を賢く笑わせる事は難しい。逆に観衆を泣かせたり怒らせたり、そして恐れさせたりする事は簡単だと舞台女優をしていた娘が話してくれた事があった。
 今回の直接対話のために命懸けで来日し、多くのリーダーに与えた影響は計り知れない。広島から平和への対話を開始した事も大きな唸りになると感じられる。
 来日当日私はある会合で教師達に投げかけた。今回のゼレンスキー氏の行動を素材にしてどのような教材として、どのような授業を展開できるかと課題を出して論議させてみた。
 こうした生の出来事を教材にする訓練がされていないのでかなり苦慮した様子が伺われたが、やがて思い思いな授業展開の議論が交わされた。社会に開かれた教育課程を実践するとはこうした事ではないだろうか。
 ただし面白半分や興味本位ではならない。
 こうした授業こそが私が主張する動く道徳すなわち「道徳から動徳へ」という事である。是非、時を逃さず、感動、躍動そして共感を持って今を学ばせてほしいと思っている。
 今夏も相互に楽しみながら50カ所で気づかせ!考えさせ!議論させ!やってみせる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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