「モノクロームの表現」開催中
4面記事平塚市美術館
平塚市美術館は「モノクロームの表現」を2023年4月8日(土)から開催している。
本展では、白から黒への色彩の変化やグラデーションを駆使して内的な世界の具現化、モチーフの存在そのものに迫ろうとするなど、各自の表現を追求する8名の作家の作品約30点を展観する。
美術作品におけるモノクロームとは、単色で表現された絵画のことを指す。作家自身の内面やモチーフを凝視し、色彩を極限までしぼった手法は、作家に重要な気付きを与えている。
田澤茂(1925―2014)は、油絵具を用い、現代社会の縮図として魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界を描き出している。銅版画を得意とした渡辺千尋(1944―2009)は、幻視した幻想的な世界を細かい線描で表し、伊藤彬(1940―)は、木炭や墨により人間の本質にかかわる精神性や宗教観を山水草木に投影して描く。木下晋(1947―)は鉛筆で、三浦明範(1953―)は、シルバーポイントという古典技法によりそれぞれ人間や物質の存在を追究する。藤山貴司(1950―2008)は、自身の考える世界創生の物語を木炭やコンテによって紡ぎ出している。三瀬夏之介(1973―)は、私的な感覚に基づく社会への問題提起ともいえる作品を墨によって描き、石井礼子(1974―2019)は、日常生活の光景を墨線で描くことで自分自身と向き合う。
色彩の世界からモノクロームの世界へ移行した作家、ごく一時期だけモノクロームの表現を試みた作家など、8名の作家の作品への取り組み方はそれぞれ異なる。単色でありながら美しい諧調と豊かな世界観をもつ表現の魅力を楽しめる展覧会だ。
【展覧会概要】
名称
「モノクロームの表現」
会期
4月8日(土)~5月28日(日)
会場
平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡1―3―3)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
※月曜日は休館
※会期等は変更になる場合あり。詳細は公式サイトを確認。