日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

12年ぶりに小・中学生戻る 原発事故を経て 福島・大熊町

1面記事

市町村

 東京電力福島第一原発が立地する福島県大熊町で12年ぶりに町内での義務教育が再開した。10日には、入学式・始業式などを兼ねた記念式典があり、町教委の佐藤由弘教育長は、「皆さんお帰りなさい。自らの学びを深めることを期待します」などと子どもたちに呼び掛けた。
 大熊町は原発事故後、同県会津若松市内で義務教育を再開。昨年4月には、3校を統合して義務教育学校を発足させた。「学び舎 ゆめの森」と名付けた義務教育学校は、本年度から大熊町内の新施設に移転して教育活動を再開する予定だったが、建設工事の遅れから、1学期は、役場庁舎などで授業を行う。
 「ゆめの森」は義務教育学校と認定こども園を兼ねる。新施設は、「0歳から15歳の子どもたちが共に学ぶ場所」(大熊町教委)となる。
 義務教育学校の校長と認定こども園の園長には、昨年度まで、福島県立ふたば未来学園(広野町)に勤めていた元文科省職員の南郷市兵さんが就いた。
 児童・生徒数は9学年合計で18人。最多は1年生と6年生のそれぞれ4人で、4年生と8年生は在籍していない。認定こども園には1歳児を含め8人が在籍している。
 義務教育学校の町内移転により、児童・生徒とその家族は、大熊町に生活拠点を改めた。2月末時点では、住民基本台帳に登録がある住民のうち約9割は、同県いわき市など町外に居住しており、帰還は進んでいなかった。隣の双葉町の義務教育は本年度も、いわき市内で始まっている。
 大熊町では、放射性物質の除去作業がひと段落した平成31年4月に、地域を限って居住可能になり、役場をはじめ、病院、商店、公営住宅などを設けた。食堂街、宿泊施設や温浴施設もある。新校舎・園舎はこの地区にできる。

市町村

連載