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長岡文雄と授業づくり 子どもから学び続けるために

15面記事

書評

長瀬 拓也 著
実践家に学ぶ教師としての生き方

 「社会科は、子どもの生き方、教師の生き方にかかわる教科である」。著者の思いに啓発され、目にした長岡文雄著『ハンディー版 若い社会科の先生に』で、こんな一文を見つけた。教師としての覚悟が伝わってくる。
 『長岡文雄と授業づくり』は、実践家・長岡文雄の再発見の記であり、長岡の著作に引かれた著者が若い頃から取り組んだ実践を通し、長岡実践のすごさを振り返り、今、実践に悩む若手教師たちに贈ったエールでもある。
 長岡が奈良女子大附属小在籍時に作成した「奈良プラン」と、その実践は全国から多くの参観者を集めたという。題材の「切実性」を巡り戦後教育史に残る「長岡有田論争」の一方の雄、有田和正はかつて長岡に師事したことなども紹介されている。
 本書では長岡の著書にある言葉を引用しつつ、「師」との出会いの大切さ、「<この子>」として学習者を知ること、教材研究では「一人ひとり」ではなく「<この子>」をイメージすること。子どもから学びながらのカリキュラムづくり、学習問題づくり、ノートづくり、探究心を育てる総合的な学習の時間の在り方、自分で考える社会科づくり、そして、子どもの助言も生かす研修など、長岡が考える教師の在り方の理想をなぞるように展開していく。
 入手が難しいといわれる“長岡本”の入手法も紹介した。著者同様、本書の読後、その著作に強く引かれるに違いない。
(2530円 黎明書房)
(矢)

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