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学校と教師のための労働相談Q&A41 スクールロイヤーと学ぶ学校の働き方

15面記事

書評

神内 聡・小國 隆輔・坂本 順子 編著
現場の実情に即し平易に解説

 学校法務に携わる弁護士10人による実践的な解説書。うち4人が元・現教員で、案外いるんだなと驚いたり安心したり。
 学校で法律の専門家に頼りたくなる場面としては、保護者や地域との関係で生じるトラブル等もあるが、本書が扱うのは教員の労働問題である。学校の管理職が必ずしも強くない分野だろう。
 Q&A形式での説明が中心であり、実践的で読みやすく、理解しやすい。一般に外部の「専門家」の見解は、それ自体としては正しいのだろうが、学校の実情に全く合わず使えないことも多い。しかし本書は、学校をよく知る人たちによって「どのようなワークルールであれば先生たちが働きやすく、子どもたちにより良い教育を提供できるか」といった教育的な視点も踏まえて書かれている。例えば「労働という観点からは…だが、教育的な側面からは…」といった記述もある。
 労働時間、部活動といった基本的な問題だけでなく、在宅勤務、オンライン授業、SNS、有期雇用の無期転換などの今日的な課題、ハラスメント、労災、ALTなど教育現場のさまざまなワークルールを広くカバーしている。公立と国私立で法令の適用が異なる点なども丁寧に説明されている。終章の教員出身弁護士による座談会の本音トークも楽しい。
 管理職にとって頼りになる一冊だと思う。
(2970円 日本加除出版)
(浅田 和伸・前国立教育政策研究所長)

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