第26回「図書館を使った調べる学習コンクール」オンライン表彰式をYouTubeで配信
NEWS 公益財団法人図書館振興財団(小澤嘉謹理事長)が主催する「図書館を使った調べる学習コンクール」は今回で26回目を迎えた。
集まった作品は過去2番目に多い11万3450点。また地域コンクールは過去最多を更新し、38都道府県151自治体で開催された。
昨年12月27日に最終審査会を行い、入賞32作品・3団体が決定した。図書館の活用により自らの疑問を探究し優れた作品を生み出した受賞者の表彰式が3月4日(土)オンラインでYouTubeにて配信された。
【文部科学大臣賞受賞作の紹介】(敬称略)
・「ぼくのぬかづけものがたり」
(調べる学習部門 小学生の部・低学年)東京都墨田区立錦糸小学校2年 長沼 奏汰(ながぬま そうた)
内容=「けんこうにやく立つ研究をしていくのはとても楽しみです」と発酵食品・糠漬けに接近します。腐敗と発酵の違い、糠漬けの歴史や米糠の概論を調べた後は、実際の糠漬けづくりです。母とぼくと弟が同じ材料で漬けても味が違うというような、発酵品ならではの不思議を味わいながら、どうしたらより美味しく漬かるか、知恵と工夫を凝らします。
・「想い!重い!をのせて北前船出航です!」
(調べる学習部門 小学生の部・中学年)秋田県秋田市立保戸野小学校3年 菊谷 ありさ(きくや ありさ)
内容=江戸時代中頃から明治30年代にかけて日本海の大量輸送を担った北前船。秋田在住の作者は県に6つも寄港地があったことから興味を持ちます。祖となった人物・河村瑞賢からスタートし、北前船が運んだ積荷や船の中での生活を追います。様々な物資だけでなく多くの人の想いも載せて「北前船は人々のバトンリレー」だったという言葉に行き着きます。
・「仮想プロジェクト『自分の家の前に駅を誘致する方法』」
(調べる学習部門 小学生の部・高学年)東京都江戸川区立篠崎小学校5年 三木 颯祐(みき そうすけ)
内容=僕の家の前に都営新宿線新駅を!駅舎は隈研吾さんに、駅名は「三木家前」にと、この上なくはっきりとした調査動機。作者は母の力も借りて、国土交通省やJR東日本、篠崎駅駅長、区役所に連絡を取り、“誘致”をもくろみます。結論は「赤字になってしまう。江戸川が邪魔。難しい」。だが将来は新線プロジェクトに関わる職業に就くという夢を持ちました。
・「無農薬栽培への挑戦」
(調べる学習部門 中学生の部)東京都渋谷教育学園渋谷中学校3年 久郷 悠人(くごう はると)
内容=現代の農業は、一種類の作物を広大な敷地で栽培するという生物多様性が欠如した状況にある。よって病害虫が蔓延しやすい。農薬に頼らざるをえない。そこで無農薬栽培への道をどう切り拓くか、作者は挑みます。
・「終末期医療における自己決定の尊重を実現するためには─尊厳死法制化論争やACP導入を通して─」
(調べる学習部門 高校生の部)東京都海城高等学校1年 横川 英輝(よこかわ えいき)
内容=延命治療を望まず息を引き取った祖母の思い出を契機に、どうすれば日本で納得いく死が迎えられるかを考える作者が、終末期専門医やノンフィクション作家を取材し、ACP(アドバンス・ケア・プランニング=前もって医療ケアについて計画を立てておくこと)の可能性を探ります。これからの時代への、真新しく、しっかりとした問題提起となりました。
・「忘れじの花~戦後の北九州に光を灯した少女歌劇の足跡~」
(調べる学習部門 大人の部)福岡県北九州市立八幡図書館 富原まさ江(とみはら まさえ)・伊藤 明子(いとう あきこ)
内容=少女歌劇は宝塚だけにあらず。かつて北九州に存在した小柳少女歌劇団(八幡東区)を中心に、庶民の人気を集めた少女歌劇を浮き彫りにするルポです。八幡製鉄所の慰安会や起業祭に出ていたらしいという話から、写真資料(ブロマイドやプログラム)や小学生のときに客として見に行った人の証言を収集。昭和20年代をピークに月に15公演ほどしていた姿を突きとめます。