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SDGsの原点「地球憲章」を考える

20面記事

書評

地球憲章日本委員会(代表 広中和歌子) 編著
人権・平和揺らぐ今、共有したい規範

 「私たち人類は今、自分たちの未来を選択しなければならないという、地球の歴史上重大な転換点にさしかかっている」。本書中、さまざまな章で引用される「地球憲章」前文の冒頭の一文だ。
 「地球共同体」の一員としての責任を求めた「地球憲章」の原案作成はリオデジャネイロでの国連主催の地球サミット(1992年)から始まった。当時、作成した原案は採択には至らず、その後、各国の有識者が集い、民間の「地球憲章委員会」を組織、起草した最終稿がユネスコ本部で決定された。2000年のことである。地球憲章の誕生22年を記念して、本書は上梓された。
 「地球憲章とは」から始まり、同憲章公表後の活動の広がり、コロナパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など時代の変化を踏まえた地球憲章の新たな役割、「地球憲章」のやさしい解説の4部19章で構成した。
 地球憲章の精神は、その後の「ミレニアム開発目標」(MDGs)から「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)などへと脈々と受け継がれている。
 本書には地球憲章とSDGsの相互関係なども分析されている。環境への注意喚起だけでなく、公正な社会と経済、民主主義、非暴力と平和などにも言及した地球憲章。人権、平和などが揺らいでいる現代に、改めて共有したい規範にあふれている。
(1980円 三省堂書店・創英社)
(矢)

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