モチベーションの心理学
18面記事鹿毛 雅治 著
どう生まれ、何から影響受けるのか
学習面などでよく使われる「やる気」と「意欲」。
本書は、こうした言葉の理解を深めることができるモチベーション心理学の入門書になる。モチベーションはどのように生まれ、何に影響を受けて変化していくのか。それを考える上で、教育現場の教員が参考にしたい内容が多く含まれている。本書を活用し、「やる気」や「意欲」などの概念を捉え直して自らの指導に生かすことで、目の前の児童・生徒の確かな変容につなげることも期待できるのではないだろうか。
導入部の第1~2章では、「モチベーションとは何か」に関して著名な理論を取り上げながら概説。第3~6章では、「目標」「自信」「成長」「非意識」の四つのキーワードで分類した理論群に、それぞれの説明を加えている。第7章では、個人を取り囲む環境に焦点を当て、そのシステムに加え、場の在り方とモチベーションの関連に関して解説。終章では本書全体の内容を振り返り、モチベーションという概念の意味合いについて改めて問い直している。
普段、似たような意味だと思われる言葉にも、それぞれ違いがある。教育の言葉は抽象度が高く、漠然かつ曖昧な意味理解のままで使われているものも少なくない。だからこそ一つ一つの言葉の意味を吟味し、追究する過程は物事の捉え方として学ぶべき点が多い。特に、研究主任にはお薦めしたい一冊だ。
(1100円 中央公論新社(中公新書))
(斉)