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発達障害「できないこと」には理由(ワケ)がある!

18面記事

書評

かなしろにゃんこ。著
前川 あさ美 監修・解説
明日につながるヒントが満載

 まずは構成に驚いた。明らかに他に類を見ないほどの完成度で、漫画半分・文字半分と親しみやすくなっている。
 著者のかなしろにゃんこ。さんは、息子にADHDがあり、発達障害についての本もたくさん出している漫画家。
 本書は、「生きにくい世界に必死で自分を合わせようとして『困っている』のは、実は彼らのほうなのかも」―という切り口から始まる。「落ち着くことができません」「『やりたい』と思ったら止められません」「集団行動ができません」「『こだわり』がやめられません」などの事例を紹介し、臨床心理士の監修者が解説する。また親の気持ちについてもズバッと触れているのがありがたい。「周囲の人にも子どもにも、思いが伝わらないのがつらい」「集団には、彼らが生きにくくなる要因がたくさん潜んでいるのです」などの箇所は、相互の立場を理解しているからこその内容である。
 圧巻なのは、締めくくりに記された六つの言葉である。

 ・「できる」か「できない」かという考えを手放そう
 ・親も子も、がんばりすぎないこと
 ・理解は、急がなくていい。決めつけないこと
 ・支援とは「一緒に生きること」
 ・周囲の目より自分たちの眼差しを大切に
 ・「ひとりひとりが特別」の意識で

 ―という明日につながるヒントが満載だ。中でも子どもが直面している困難例のユニークな漫画による図解は、説得力がある。
(1540円 講談社)
(大久保俊輝・麗澤大学教職センター長)

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