日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第262回】

NEWS

論説・コラム

組織の形骸化

 《「我慢できず手を出した」服装について口論 高校生の息子の顔を殴る 父親逮捕》(STVニュース北海道)という見出しで報道が出た。日常的な親子喧嘩ならまだしも逮捕となるのはよほどでなければ考えにくい。
 こうした現実を直視しようとしない政治や行政やメディアの価値観は庶民とは乖離している。警察の対応も現実に合っていない。手遅れや誤認が頻繁に明るみになっている。適度な規制や指導ができない為に見過ごすか、厳しく取り締まるかという両局面に振られているように思える。
 これは組織の形骸化の現れであり、極めて危険な状況と言える。その場に応じて適切に対応する裁量が働かないからである。
 親子喧嘩の場合、個々にしっかりと説諭して観察期間を設けて指導をすると言う相談機能がない為、今回のような事件に至ったのではないだろうか。それは相談力の低下でありその人材が手法ばかりに偏り、人間力を評価できない行政の資質から起きているように思える。相談を受ける力もない輩が肩書きでやっているから根本的な解決などできるわけがないのである。
 ちなみに、逮捕後の親子関係の修復は誰がするのだろうか?そこまでケアするのが行政ではないのか?
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載