一刀両断 実践者の視点から【第256回】
NEWS「休日ゼロ」の部活動、実現への道は
《教員の休日指導ゼロへ 部活動運営方針を改訂 茨城県教委》という見出しの記事がある。ここまで踏み込んだ方針は見事である。しかし、抵抗勢力もかなりある事が想定される。何故なら部活をやりたくて教師になった中学教師が相当数存在するからである。
その効能も内外が認め、議員が後押しをしてきた経緯がある。教員組織の体育部会の結束は固い。部会に市長や議員が上座に並ぶ事が通例になっている地域もある。中には選挙支援のビラさえも当然のように配布される。
こうした構造になって半世紀を過ぎ、違和感さえ感じさせない風土が存在する。ここまで浸透した部活は音楽系も同様である。深く根付き人脈を構成しているので、こうした茨城の大改革をしても形を変えて権力や利権は保持される事が想定される。
本来の部活に頼らない生徒指導や、教科の指導など学力差を補いながら個々の意欲を引き出す事に全力を傾注して貰いたいと願ってやまない。
ある意味、本来伸ばせる力や能力が部活への偏りで引き出せないままになって、その時期を失っている事実がある。ならばこそ、負担を軽減してバランスよく能力や才能を引き出せる工夫が必要なのである。
もちろん教員にも向き不向きがある。努力してもどうにもならない特性を知って自分の特性を伸ばすという視点は注目したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)