不登校の理解と支援のためのハンドブック 多様な学びの場を保障するために
15面記事伊藤 美奈子 編著
校内外の連携で個に応じた支援へ
令和3年度の不登校児童・生徒数が小・中学校で24万人を超え、過去最多となった。前年度より4万8千人の急増である。コロナ禍の影響もあるが、なかなか解決策が見いだせない。
教育機会確保法と「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」により不登校対策は大きく転換した。しかし、この重要性は現場であまり認識されていないようだ。
本書は、この転換期に改めて不登校問題を見直す必要があると考える。小・中・高の学校はもちろん、スクールカウンセラー、福祉、医療、適応指導教室、フリースクール、特例校、保護者などさまざまな立場から不登校について述べている。
不登校の要因は多岐にわたる。担任教師だけでなく、心理、福祉、医療、行政など多職種の人が協力し「チーム学校」として支援に当たることが求められている。
しかし学校現場は多忙を極め、個別のケース会議などの時間設定が困難である。チーム学校がどの程度機能しているのか、機能していないなら、なぜなのか検証する必要がある。
不登校児童・生徒一人一人について多面的なアセスメントが重要だ。また、不登校の保護者への理解も求められている。学校関係者は不登校に対する認識を改め、個に応じた解決策を検討する必要がある。そのために必読の一冊である。
(2860円 ミネルヴァ書房)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)