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有田和正に学ぶユーモアのある学級づくり

12面記事

書評

古川 光弘 著
楽しくなる仕掛けがいっぱい

 本書で著者は「教師生活を充実させるための5か条」の一つとして<若手は、追い求める目標とする教師を持つことが大切である>と強調していた。
 著者にとって、この教師とは今は亡き有田和正先生である。著者はまえがきで有田氏から学び続けて35年以上の月日が流れているとも語っていた。抽象的な教師論よりも、はるかにインパクトがある主張である。また評者も38年の教師修業の歩みを振り返ると、全く同感なのである。
 著者の師となった有田氏は、ユーモアのある教師であった。「1時間のうちに一度も笑いのない授業を行った教師は、ただちに逮捕する」という冗談めいた名言を生前、語っていた。この名言は本書の3章の副題にもなっている。「授業のはじめは、笑いの練習から」「友だちの『よいところ・好きなところ』をどんどん見つけよう」など、有田氏の学級には楽しくなる仕掛けがたくさんある。
 さまざまな教育改革が進められている。しかし、どんな教育改革が進められようとも、ユーモアが生まれないような学級の教育現場では失敗してしまうと、本書を読み痛感した。教育実践は、師から学び続けることで深くなり、そして広がることを本書は示唆する。急がば回れである。本書を読み、師を持つ若い教師が一人でも多く生まれることを祈りたい。
(2090円 黎明書房)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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