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公立小・中のトイレ、バリアフリー化7割 体育館での整備進まず

14面記事

文部科学省

 車いすを使用する人への配慮を加えるなどしたバリアフリー型のトイレを備える公立小・中学校校舎の割合は2年前と比べ、5・2ポイント増の70・4%となったことが文科省の集計で分かった。昨年9月1日時点の状況を調べた。体育館など屋内運動場への整備率は5・0ポイント増の41・9%だった。災害などに備え、政府は令和7年度末までに避難所指定を受けている学校の整備率を100%とする目標を掲げている。

災害に備え避難所指定も…

 「学校施設のバリアフリー化に関する実態調査」として実施。国公立の小・中学校とそれに相当する年齢段階の学校、特別支援学校を対象とした。2年前の調査では、車いす使用者用トイレの整備状況を調べたが、今回は、乳幼児を連れた人のための設備を備えたトイレなども含めている。
 義務教育学校と中等教育学校前期課程を含む公立小・中学校のうち、約93%は校舎部分が避難所指定を受けている。屋内運動場部分が避難所指定を受けている小・中学校は、約98%となる。今回の調査では、校舎部分は目標に近づいているが、屋内運動場はまだ遠かった。
 トイレに関しては、学校外から車いすで円滑に利用できるよう、段差部分を埋めるスロープの整備も進めている。避難所指定を受けている学校ではトイレと同じ目標時期に完備を目指している。
 校舎部分のスロープ整備率は、「門から建物の前まで」で3・7ポイント増の82・2%、「建物の出入り口から同じ階にある教室まで」で3・8ポイント増の61・1%となった。
 エレベーターの整備率は1・9ポイント増の29・0%だった。エレベーターの整備目標は、車いすを使用する児童・生徒がいる学校などを対象に100%を目指している。今回の調査の時点では、約41%の小・中学校に車いすを利用する児童・生徒などがいた。29%から41%への引き上げが必要となる。
 都道府県別の整備状況も公開している。校舎部分のトイレ整備率は、大阪(99・1%)、兵庫(90・5%)が高く、鹿児島(34・3%)、福島(39・8%)が低かった。
 整備予定に関しても調べた。校舎部分へのバリアフリー対応のトイレ整備率は令和7年度でも75・6%にとどまった。まだ、目標の約93%には届かない見込みだ。
 政府は整備目標時期の令和7年度まで、バリアフリー化に関する財政支援を手厚くしている。文科省は昨年12月26日付の通知で、目標達成を目指すよう要請した。
 通知では、令和2年の法改正により、新設の公立小・中学校がバリアフリー化の対象となったこと、既存の公立小・中学校も、バリアフリー化を進める努力義務の対象となったことを紹介。バリアフリー化を着実・迅速に進めるよう求めた。

文部科学省

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