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一刀両断 実践者の視点から【第247回】

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論説・コラム

 先日ある研修会で、恩師に質問しようと考えていた事があった。それは、これまでの文科省が示してきた教育内容や教育課程の結果として、いじめや不登校そして自死も増え続けている事実をどう考えるのかという質問である。
 質問のチャンスをうかがっていたところ、恩師が文科省から招いた講師に同じ質問をぶつけたのである。以心伝心とはこの事かも知れない。
 教科調査官の答えは曖昧で、本人も答えになっていない事を理解していたようである。今求められる教育がされていない現実が分かっていても、改善できないのだから閉口してしまう。
 ある意味、学べば学ぶほど現実から乖離してしまうという事になる。特に道徳はその典型的な内容になっているのではないだろうか。社会に開かれた教育課程と銘打っていながらも社会と乖離している自己犠牲の内容が多く、何やら特攻隊の志願をさせているようにも感じられてならない。
 もちろん愛国心は醸成せねばならないが手法が違っているのである。
 本来教育は右や左の論議ではなく、中道、中庸を進むべきだがそれをさせないブレの感じられる内容は関係委員の思考そのものではないだろうか。過去の実績で選ばれた者ばかりの遺物では、未来を志向した内容にはなるわけがない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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