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一刀両断 実践者の視点から【第246回】

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論説・コラム

精神疾患を防ぐ鍵

 年末のマスコミでは、精神疾患で休職に至る教員の多さをそれぞれに報じていた。その中に、「管理職が目配りしたり、教職員がストレスチェックなどにより自身で心身の状況を把握したりする取り組みを促したい」といったコメントがあった。そんな事はいままで何度も指導されてはきたが、人間関係が出来ていないのでは、全てが形式的になるだけである。すなわち相手の苦しさや悩みを我が事にするのは簡単ではないし、自分自身の悩みで飽和状態の者も少なくない。
 問題解決の鍵は、養成段階から採用初期での訓練にある。私は1人の職員の人生も我が事にして、率直に話が出来る関係を築くようにしてきた。手遅れになる前に見通しと仕掛けている。
 現在の教員養成制度ではほとんどが実践的な範は示されないで学究的に学ぶ為、教育現場からは乖離し続けている。義務教育では務まらない教員が大学には多く存在している。
 若者の疾患が増えるのも当然であろう。弱音を吐けない。聞いてもらえない。一番は、適切な助言が貰えない現状があるからだろう。
 耐性やレジリエンスという訓練を受けていないし、そうした実践に役立つ授業の必要性はあっても、それを講義して示せる教員は皆無に近いのではないだろうか。それを分っていても何の手も打てないのが、数値に表れているのであって想定内の事である。
 横並びや不公平感を感じさせない為に続けている定年制の弊害も大きい。力量や資質は年齢や学歴ではない事を分かっていても、それで教育力を下げている事実が我が国の衰退を招いている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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