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大丈夫!不登校。70人の先輩たちからのエール

21面記事

書評

荒井 裕司 編著
経験者と保護者らの珠玉の言葉

 少子化で児童・生徒数は年々減少しているにもかかわらず、不登校の数は年々増え続けている。当の子どもたちの苦しさはもちろんであるが、保護者も学校も教育委員会もその対応に苦慮している。
 そのような中、教育機会確保法が施行され、学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、「学校外での多様で適切な学習活動の重要性」や「学校を休ませる必要性」が打ち出されたことの意義は大きい。すなわち、子どもたち、そして保護者や教員の持つ「学校に通わなければならない」という呪縛からの解放が不登校への対応の枠を広げてきている。
 本書は、「不登校とは、もとの自分に戻るとか元気になるための充電期間などではなく、全く新しい状態に移行するための“進化の過程”であり、その途中のステージだと思う」という不登校経験者の一言からスタートしている。六つの章立てで、70人の不登校経験者やその母親からの珠玉の言葉は、前述の一言を納得するに十分である。
 また、それに対するカウンセラーからの適切なアドバイスは、教育機会確保法の基本理念をより具体的に表現しており、ぜひ子どもたち、保護者や教員に目を通してほしい。
 そして、不登校の子どもたちへはもちろん、その保護者との接し方についても深く考えさせられる一冊である。
(1980円 ほんの森出版)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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