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不親切教師のススメ

21面記事

書評

松尾 英明 著
子どもの主体性育み自立を促す

 学校教師は、基本的には真面目で親切。現職の公立学校教員である著者が、あえてそれとは真逆の「不親切教師」を掲げる理由は何か。49の提案で問い掛ける。
 著者が定義する「不親切教師」が目指す方向の一つが、子どもの主体性の向上。教育における真の親切とは、子どもを自立へと促す行為であるという。
 7章構成の本書は、1章「『楽しい授業』をやめる―親切・丁寧・サービス満点をやめて、学力向上」に始まる。例えば、先生が行っているドリルの丸つけ。子どもがそれを自分で行うことが、自己診断力、主体的な学習態度を高めることに通じるという。
 3章「『してあげる』をしない―担任がすべてを請け負わない」では、4月の学級準備の定番である名前のシール貼りに言及。子どもたちは、それを誰かが貼ってくれているとも気付かず「シールは毎年自動的に貼られている」ことを学んでいるという。教師が疑問も持たずに行っている「学校の当たり前」が、子どもの主体性を育むものであったのか。
 「不親切教師」が目指す方向の二つ目は、教師の仕事の精選による負担軽減。子どものためと多くの時間を費やすことが、自立を阻むことになっていたとしたら―。本書を手に本当に必要なことを見極めていきたいものである。
(1980円 さくら社)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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