教員給与の在り方検討・有識者会議初会合 国際比較など報告
11面記事 文科省は昨年12月20日、公立学校の教員には時間外勤務手当を支給しないと規定している教職員給与特別措置法(給特法)を含めた教員の処遇の在り方を議論する有識者会議の初会合を開いた。本年度実施した教員勤務実態調査の結果を踏まえ、給与の在り方や業務の整理を検討する。この日の会合では諸外国との業務の比較や、教員政策を考える上での論点について委員から発表があった。
国立教育政策研究所の藤原文雄・初等中等教育研究部長は、教員の業務内容や超過勤務に対する処遇の国際比較を報告した。2018年実施のOECD(経済協力開発機構)の調査から、中学校教員の1週間の仕事時間では日本の教員は諸外国と比べ授業の時間が少ない一方で、事務作業や課外活動の指導に充てる時間が多いことを説明した。
藤原氏は超過勤務の扱いについて、昨年度文科省が実施した調査も紹介した。それによると韓国では1日の勤務時間は8時間。時間外勤務は1日4時間を上限に校長の決裁を受けて行うことができ、予算の範囲内で手当を支給することとされている。英国では一般的に時間外手当は支払われないという。
同じ調査で教員が担う業務や教員の給与、支援スタッフの活用状況を調べたところ、教員1人当たりの学校職員の配置人数は英国が最も多く、日本が最も少なかった。藤原氏は「最善のモデルがあるわけではなく、各国に対応した仕組みで行われている」と述べた。
平成18年の第1回の勤務実態調査から関わっている東北大学大学院の青木栄一教授は、教員政策の複合性を指摘。給与、勤務、教員定数の三つの政策分野を一体的に議論することが必要だと訴えた。