日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

教員採用選考 1~3カ月前倒し 中教審が答申、工程表示す

11面記事

文部科学省

 中央教育審議会が昨年12月19日、教員採用試験の実施時期の前倒しなどを文科相に答申した。教職志望者を確保するため、民間企業や国家公務員の選考時期を参考に1~3カ月程度早めることを想定している。文科省はこの日、工程表を示し、令和7年度採用者の試験から新たな日程で実施する考えを改めて示した。
 答申は、今後の教員に求められる資質・能力を再整理した上で、養成から採用・研修の改革の方向性を示した。
 教員に共通に求められる資質として学習指導、生徒指導とともに「特別な支援を要する子どもへの対応」と「ICTや教育データの活用」を提示。各教育委員会が定める教員の資質向上の指標に盛り込むよう求めた。
 採用試験については「民間企業等の就職活動の早期化により、就職活動を不安に思い、安定した就職先を決めたい学生は、教師を目指していても先に民間企業に就職先を決めてしまうとの指摘もある」として実施時期の前倒しを提案。ただ、一部の自治体だけが実施すると、他自治体との重複合格により辞退者が多く出るなどの課題が想定されるとして、国と教育委員会、大学関係者が協議しながら進めることを要望した。教員採用で人物重視の多面的な選考を取り入れることも求めた。
 また、民間企業の採用活動が早まったことなどにより、大学4年で教育実習の時間を取ることが難しくなっていると指摘。従来の短期集中の形式だけでなく、柔軟な方法を広げるよう提案した。通年で特定の曜日に実施する方法や、1~2年生のうちから「学校体験活動」として実施し、教育実習の一部と代替する方法などを想定している。
 教員研修では、来年度から始まる研修履歴記録システムに言及。教職員支援機構や教委、大学などの提供する研修コンテンツを一元的に集約するプラットフォームの開発などを要望した。
 文科省はこの日、答申の内容を踏まえた改革工程表を提示した。このうち、教育実習の柔軟化については現行制度でも実施できることを周知し、来年度から各大学で見直しを促すこととした。
 教職以外に多様な専門性を持つ教員を確保するため、4年制大学でも最短2年で教員免許状を取れる教職課程の開発を来年度始めることを示した。

文部科学省

連載