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子どもの非認知能力を育成する教師のためのソーシャル・スキル

13面記事

書評

河村 茂雄 著
子どものタイプに応じた対応を解説

 資質・能力(コンピテンシー)という言葉が一般化してきた。これは、「知識・技能」と、それらを活用できる「思考力・判断力・表現力」などの「認知能力」と、目標や意欲、興味・関心を持ち、粘り強く、仲間と協調して取り組む姿勢、いわゆる「学びに向かう力や姿勢」といわれる「非認知能力」の二つの能力が内包される。
 本著の研究対象モデルは、学級内で特別な支援を直接的にされていない多くの“ふつう”の子どもである。「主体的・対話的で深い学び」が問われる今後の学校教育の中での“ふつう”の子どもたちの非認知能力の低下の実態や背景をつまびらかにしつつ、児童期以降に教育がどのように非認知能力を育成していくかを理論と具体を兼ね備え解説している。また、これからの教師には、非認知能力の低い子どもを前提に、認知能力の支えとなる非認知能力が形成されるよう支援していくことが求められることを強調している。
 第2章までは、非認知能力の重要性について心理学的見地から学際的に解説がなされている。第3章以降で非認知能力を育成する指針や具体的事例、「アドボカシー(その人の意思や権利を伝える支援)」などの手法が分かりやすく子どものタイプに応じ記されている。大きなポイントは「とにかく行動する」こととし、五つのスタンダードなポイントが示され必見に値する内容である。
(1980円 誠信書房)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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