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1人1台端末とICT学習アプリで生徒の学習意欲が大きく向上!

9面記事

企画特集

美術の時間に教員の解説をiPadで撮影している様子

静岡県 常葉大学附属橘高等学校

 建学の精神「『より高きを目指して』~Learning for Life」のもと、学力を伸ばし人間性を高める教育を行う常葉大学附属橘高等学校。「グローバル化が加速し価値観が多様化する社会において、生徒が自らICTを活用しながら答えを見つけ出し、生涯にわたり学び続ける力を育成することは一層重要なものになる」と語るのは、同校校長の関本和彦氏だ。今回、ICTの活用から新しい学びを広げることを目指す同校での、1人1台端末とICT学習アプリの活用や授業について紹介する。

常葉大学附属橘高等学校 校長 関本和彦氏

ICT学習アプリで授業の幅が広がる

 同校は1人1台端末と高速通信ネットワークの整備を5年前から始め、現在、iPadを導入しWi―Fiも完備している。また、プロジェクターなどの学校の設備も充実しており、より良い学習環境が整備されている。さらに、端末を活用して学びを深めるためカシオ計算機のICT学習アプリ「ClassPad.net」を2021年9月に導入した。
 同アプリは、多彩なオンライン辞書機能、課題の送受信機能、デジタルノート、グラフや図形の描写が可能な数学ツールなどを搭載しているオールインワンアプリで、生徒が学校でも自宅でも自由に使えるのが魅力だ。現在、多くの教科で活用されている。
 1年生の数学「二次不等式」の授業の一例を紹介する。以前は、時間を区切って問題を解かせ、解答や考え方を担当の有海裕子教諭が板書で解説していた。しかしClassPad.netを使うようになってからは、配信した問題を生徒が自分の端末上で解き、頃合いを見計らって教員側が解答を配信する。生徒は自分で答え合わせをしながら、分からないところを重点的に質問することができるようになった。「生徒が自分のペースでじっくり問題を解く時間を作ることができた」と有海教諭は話す。また、生徒からは、「先生方が親身になって優しく教えてくれるため気軽に質問ができる。そのため、授業の雰囲気も良い。さらにiPadが導入されて、学びが深まった」と声も挙がっている。
 授業の振り返りも「デジタルノート機能」の「ふせん」を使ってその日のうちに提出するようにした。生徒のタイムリーな反応を把握できるようになり、生徒自身も授業を振り返るという姿勢が定着したと有海教諭は語った。

ICT学習アプリで学習効率もアップ

 1年生の国語の古文「土佐日記」の導入部分では、まず、生徒は土佐日記の概要を国語便覧で調べ、古語辞典を用いて分からない単語を調べていく。その後、担当の小林理恵教諭とともに現代語訳をしていった。その際、生徒が行う調べ学習は全てClassPad.netで行う。小林教諭は「ClassPad.netを開けば探したいものが見つかるので、どの生徒も率先して辞書で調べる意欲が出てきた」と話す。
 検索は複数の辞書を横断的に調べられるので、学習の効率化にもつながる。授業を受けた牧田琥太朗さんは「紙の辞典は重かった。今は端末一つで解決するので助かる」とその便利さを実感している。

ICT学習アプリで課題達成率がアップ

 実技や実習を伴う教科でもICT活用は進んでいる。1年生の美術の遠近法の学習での一例を挙げる。生徒たちは鈴木淳也教諭が配信した見本を自分の端末に表示しながら制作を進めていた。手元に置いて見ることができるので参考にしやすいという。
 また、次の授業まで期間が1週間も空く美術では、自主的に制作を進めたいと感じている生徒もいた。ClassPad.netを使用してからは、教員と直接会わなくても進み具合を端末で撮影して送信し、質問やアドバイスが受けられるので「家で進められる部分も増えて効率的になった」と1年生の秋元優花さんは話す。実際、同アプリを使い始めて、生徒の課題達成率が上昇したという。
 また、1年生の岩﨑莉奈さんは、「周りの人の提出具合を確認できるのが便利。将来はデザインの仕事に就きたい」と話し、ICTを活用することで進路意識が高まるケースもみられている。
 同校がClassPad.netを採用した理由について、関本校長は「辞書機能、意見集約、課題配信などの機能が総合的に優れていると感じた。授業をよりよく進化させるツールとして期待している」と話した。
 また、全生徒必携としていた電子辞書の購入費をコンテンツ導入費に振り替え、保護者の負担軽減も図れたという。さらに、ICT学習アプリのメリットについて生徒からは、ノートをうっかり家に忘れてきても端末にデータが入っているためすぐに提出できる点や荷物が軽くなり体への負担だけでなく気持ちの面でも楽になったという声が多数聞かれた。
 将来の夢も徐々に固まってくる高校時代。医療関係、警察官、研究職などそれぞれの夢を語る生徒たちにとって、同校の「教員の手厚い指導」や「学びを深める充実の設備」などの魅力とICTの活用の融合は、夢への実現の大きな後押しになりそうだ。
 常葉大学附属橘高等学校、「ClassPad.net」の詳細についてはURLから。

「常葉大学附属橘高等学校」公式HP
 https://www.tokoha.ac.jp/tachibana-jh/

「ClassPad.net」公式HP
 https://classpad.net/jp/?utm_source=kyoiku&utm_medium=qr&utm_campaign=cp.net_partnership-pj_202212_jp&utm_content=%7Cpr%7C%7C221205%7Carticle%7Cteachers%7C%7C%7C

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