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学校の先生に贈る「ほめ育」メソッド 自己肯定感を高め、主体的に動く子どもを育む

12面記事

書評

原 邦雄 著
基準明確にした一貫性ある指導を説く

 ほめて育てる―これは子育てに関わる大人なら誰もが耳にする言葉であろう。ほめられて育ってこそ、自分を信じる気持ち、自信が生まれるという。
 著者は、大手コンサル会社から飲食店に転職、店長を経験した。その時の経験に脳科学と心理学をミックスさせ、日本初の「ほめ育」を完成し、世界18カ国、延べ50万人に広めている。
 内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、「自分自身に満足している」と答えた子どもの割合はアメリカが約6割に対し、日本はわずか1割。ここに、ほめられずに育つ日本の現実が見える。
 第1章は、「ほめ育」の理論。目指す到達点は「主体的に行動ができる子どもを育む」ことであるという。ほめるかどうかの線引きは、「主体的な行動への一歩を踏み出せたか」。結果に至る過程に注目し、「主体的かどうか」を判断基準にして一貫性を持たせる。私たち大人は、見える結果のみに目を向けてはいないだろうか。
 「教育現場で役に立つほめ育」をテーマにした本書。「まじめな教師ほど、大切な子どもを預かっている、という使命感から指導に入る」という一節に、わが身を振り返る。「相手をコントロールするために、ほめてはいなかったか」、「ほめる」の意味をいま一度考える機会としたいものである。
(1980円 学事出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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