物価上昇、勉強面に悪影響 困窮世帯へ民間調査
1面記事病気にもなりやすく
子育て中の生活困窮世帯のうち、半数近くが最近の物価上昇により子どもの心身への悪影響が出ていると考えていることが民間団体の調査で分かった。栄養面を筆頭に「勉強に集中できなくなった」「風邪などの病気になりやすくなった」などが挙がっている。高校生がいる世帯に進路状況を尋ねたところ、2割弱が経済的理由で志望校を諦めたと答えている。調査した団体では、政府に対し、現金給付などを求める緊急提言をまとめている。
この調査は、生活困窮世帯の子どもの学習や生活を支援している認定NPO法人のキッズドア(渡辺由美子理事長)によるもの。今月中旬、同法人の支援事業に登録している世帯を対象に行った。1846件の回答を集計した。
物価上昇による家計状況は、「とても厳しくなった」を挙げた世帯が74%。「やや厳しくなった」は26%で、ほぼ全ての世帯が悪化していた。家計維持のために出費を減らしている項目として「食費」を84%が挙げた。
子どもの心身の成長に対する悪影響の有無では、「悪い影響が大いに出ている」が16%、「悪い影響が出ている」が33%、「悪い影響は特に出ていない」が51%となった。
「悪い影響が大いに出ている」または「悪い影響が出ている」と答えた世帯に、どのような影響が出ているか尋ねると、多かった順に「必要な栄養が取れていない」を70%が挙げ、「勉強に集中できなくなった」(31%)、「風邪などの病気になりやすくなった」(28%)、「身長や体重が増えていない」(25%)が続いた。
物価上昇による子どもの学びや生活の変化に関する設問では、多かった順に「学校外の学びの機会を減らした」(46%)、「友達と遊びに行くのを減らした」(40%)、「参考書や本の購入を減らした」(37%)といった回答があった。
高校生がいる世帯を対象に、高校生の進路への影響を尋ねた結果では、「塾や予備校に行けない」を挙げた割合が54%に達し、以下、「参考書が購入できない」(40%)、「模試が受けられない」(23%)が続いた。「経済的な理由で志望校を諦めた」は19%が挙げた。
緊急提言では、困窮世帯への継続的な現金給付など3項目を掲げた。現金給付に関しては、これまで非課税世帯向けの給付があったことを踏まえ、非課税世帯以外への支援が必要だと訴えている。
調査では、回答を選択する方式に加え、自由記述で現状や要望をつづってもらっている。金銭的な支援に関しては、「住民税非課税世帯への援助は手厚いが、ギリギリ非課税ではなくなった世帯への援助が乏しい。住民税は支払い、児童扶養手当は一部支給になり、給付金なども受けられない」といった指摘があった。