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探究モードへの挑戦 高度化・自律化をめざすSDGs時代の人づくり

12面記事

書評

田村 学・佐藤 真久 編著
必要性や成立要件を掘り下げる

 SDGs時代の地球市民としての人づくりや、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高いといわれるVUCA社会を背景にした時、教育に求められているのは、探究的な学びであることに異論のある方は少ないだろう。
 本書は学校教育の世界にとどまらず、その先の人生を見据えながら、企業や地域などでの活動においても“学習”と“協働”を両輪とする「探究」が重要だとする「生涯探究社会」を提唱している点に大きな特色がある。
 教育に携わる方々にとっては、総合的な学習の時間をリードしてきた元文科省視学官や、現在の学習指導要領作成に深く関わった元同省教育課程課長、「未来の教室」プロジェクトなどを手掛けてきた経産省官僚、コンピテンシーベースの教育の必要性を提案してきたOECDに携わった文科省官僚らが「探究」の必要性や成立要件、今後の教育などを述べる各章は、とりわけ興味深いものになろう。
 探究色の強くなった学習指導要領の下での授業風景に「『探究』イコール『教科横断』『実生活・実社会上の課題』『オープンエンド』という形式的、表面的な捉え方をされること」に対して注意を喚起し、日本が目指す「探究」とは何かについて理解し、実践者を含め関係者の共通理解を求める(第5章「OECDにおける『探究』の考え方」)提起は、貴重な助言だ。
 探究的な学びへの理解を深めたい方には、ぜひ一読してほしい。
(3300円 人言洞)
(矢)

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