日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

コロナ禍の学校で「何が起こり、どう変わったのか」現場のリアリティから未来の教育を描く

12面記事

書評

細田 眞由美 編
佐藤 博志 編著
朝倉 雅史 著
調査から浮かぶ現場のたくましさ

 今年は、学制の公布から150年。いま日本の教育は歴史的な大転換期にある。働き方改革や令和の日本型学校教育の推進、新型コロナウイルス感染対応やICT活用など、学校運営も授業も大きく変わりつつあり、学校教育について考える機会となっている。
 編著者らは、ポストコロナの学校の在り方を検討するには、コロナ禍の教育委員会や学校は、どのような状況にあり、何を大事にしたのか検証することが必要との考えで、さいたま市を事例地とし、詳しく調査・分析をしている。
 「教育長は何を考え、どのように動いたのか」では、コロナ禍への対応と教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)も同時に進めるという基本方針を示し、教育施策を展開したことを紹介。
 それを受け、学校現場は、どう動いたのか。編著者らは市内の複数の学校への訪問調査を実施。組織運営や学校改善について、校長・教員・生徒・保護者・学校評議員という多様な属性の人物にインタビュー調査をしている。その内容が具体的で興味深い。
 さらに、市内168人の校長へのオンライン調査の結果と分析も掲載。校長たちの、子どもにとって本当に大事なものは何かを考え、新しい発想で乗り越える方策を探るようになった、教職員同士で考える機会が多くなったなどの自由記述から、たくましい学校現場の姿が浮かび上がってくる。
(1760円 東信堂)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

書評

連載