今こそ特別活動!
16面記事清水 弘美・鈴木 敦子・中島 朋紀 編著
制約下でも実りの多い実践へ
学級会等の話し合い活動における合意形成といえば、真っ先に思い浮かぶのは「多数決」であろう。多数決でいけば一人だけの意見は、取り下げられる。しかし、その子の考えに耳を傾け寄り添い、少数意見を切り捨てないでその意見を生かそうとすれば、「自分もよく、みんなもよい」という「集団や社会の形成者としての見方・考え方」を働かせることができる。どの子にも、そのような体験は必要だ。
なかなか収束しないコロナ禍。学校休業による授業時数確保や感染防止対策により、当たり前のように実施されていた学校行事等の削減や見直しが始まって3年目。本書は、どんな状況下でも、子どもたちの目の輝きと可能性を奪ってはなるまいという思いが詰まった一冊である。
特別活動には教科書や指導書がない。学級会の指導法を学ぶ機会がない。ともすると教師が自分の経験で行ってきた方法(多数決)をベストとし、助言のタイミングや内容も自己流のまま進めることになる。
子どもたちが楽しく過ごせる学級をつくりたいという願いは、教員であれば誰しも持っている。そのために何をすべきか。子どもたちが課題解決に向け、自らの力で変わることができるよう「あなたはどうする?」と後押しできる指導者を目指し、特別活動について考えていきたい。
(2090円 一藝社)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)