教育フォーラム70 自己を創る 自己教育に取り組む姿勢と力を
18面記事梶田 叡一 責任編集
日本人間教育学会 編
自覚的な成長を多様な視点で論ず
「毎日毎日の日常的なことをやっていくだけでも、年月を重ねていけば、人は大きく変容していく。日々体験したことが積み重なって、その人の感性も能力も、そして意識世界の基本的なあり方も、いつの間にか新たなものになっていく。そうした人としての変容を自覚的な『自己への働きかけ』によって自分自身の目指す方向に向けて推進していく営みが、『自己を創る』ということである」
責任編集者の梶田叡一氏は、「自己を創る」ことを、こう定義。そして、そこでは「日々陥りがちな無自覚な生き方から自覚したあり方への脱皮が課題として突きつけられる」とし、基調論文で、
・セルフ・メイド・パーソン(自分で自分を創りあげた人)
・「自学自習」と「守破離」の精神
・人間的に価値ある志・使命感と主体性
・「頑張り」というエネルギーの持続方策
―を説く。
続いて、「自己を創る」課題にどう取り組んでいけばよいか、そこにはどのような展望があるかを9人の研究実践者が、それぞれの視点・立場から、学校づくり、授業づくり、読書、スポーツ、茶道、生涯学習、さらに自己教育力を培う活動、心理学研究の知見などを通して具体的にこの問題への見解を提示する。
「自己を創る」問題は、教育の「不易」の課題、本質的な事柄である。本書は、教育界に身を置き、主体的な「人創り」を念頭に置く方々のヒントになるに違いない。
(2640円 金子書房)
(矩)