習熟度に応じた学習展開を 「特異な才能」児支援策で提言
1面記事文科省有識者会議
特定分野に特異な才能のある児童・生徒への対応を検討してきた文科省の有識者会議が報告書をまとめた。報告書では、1人1台端末を活用した習熟度に応じた学習の展開や、大学、民間などが実施するプログラムへの接続などを求めている。また、実証研究を行い、事例の収集や情報発信に努めることを文科省へ求めた。
同会議に寄せられた特異な才能による悩みとして、「自分のレベルに合った勉強ができず、授業中は常に暇」「学校で習っていない解法をテストなどで解答すると不正解にされることが嫌」といった学習面や、「同級生との話がかみ合わず、大人と話している方がいい」といった生活面での事例があった。
同会議は「才能ある子どもを選抜し特別なプログラムを施すのではない」とし、「特異な才能」への明確な基準は設けていない。全ての子どもの多様性を認め、個別最適な学びの一環としての支援の充実を目指している。
9月26日には、有識者会議座長の岩永雅也・放送大学学長が藤原章夫・文科省初等中等教育局長に報告書を手交した。
岩永座長は「才能故の困難の解消とともに、才能を伸ばしていく必要がある。国民や学校関係者には、(数値や基準で線引きをしないという)会議の基本的な考え方が十分伝わっていない場合もある。文科省には丁寧な説明と取り組みの実施を求めたい」と述べた。
藤原局長は「審議のまとめを受けて、予算の措置や支援を進めていく。会議の基本的考えについて、きちんと説明をしていきたい。これからがスタートだ」と答えた。
報告書は同省ホームページ(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/169/index.html)で確認できる。