あなたの授業力はどのくらい? デキる教師の七つの指標
12面記事ジェフ・C・マーシャル 著
池田 匡史・雲財 寛・吉田 新一郎 訳
主体的に学び続ける教師へ
「あなたの授業力はどのくらい?」と尋ねられたら返答に窮しそう。そもそも授業力とは何か。
序章では「あなたに最も必要なものは?」として自身の改善点が見つけられるようにニーズ・アセスメントが紹介される。自己評価で採点し重要視する指標を見つける。このチェック項目も必見。
著者はアメリカの大学教授。国によって教員養成の課程や求められる教師像に違いはあるが、未来を創造する子どもたちに育む資質・能力の共通性は高い。それ故、教師として身に付けておくべき授業力には相通じるものが多い。そこで、本書で示される七つの指標が大変参考になる。
日本でも令和の日本型学校教育の実現に向け、教員養成・採用・研修の在り方について検討し、新たな教員育成指標の策定が進んでいる。この指標は本来、教員自身が自覚していることが肝要だ。その点においても、主体的に学び続ける教師像を求める人に本書は役立つ。実効性があり授業改善に結び付くからだ。
著者は七つの指標のうち、特に指標(3)「失敗が受け入れられ、尊重されていると生徒が感じる、よく組織された学習環境をつくる」の習熟は必須という。ここが成立していないと他の指標を身に付けるのは困難であると。よく組織されている教室と、うまくつくられていない教室の特徴を挙げている具体例等も興味深い。ぜひご一読を。
(2640円 教育開発研究所)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)