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福島復興「ドリームプロジェクト」その後 「また会えたね!10年ぶりの100キロハイク」【第2回】

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論説・コラム

 東日本大震災が起こった翌年の夏、福島県内の小学校5、6年が2週間に渡って寝食を共にし、福島の復興に向けて仲間を作り、さまざまな経験を積んだ「なすかしドリームプロジェクト」から今夏で10年。この催しに参加した当時の小学生と運営スタッフが再び福島に集い、徹夜での100キロハイキングに臨んだ。再会を果たした「元小学生」は果たして歩ききれるのか。同行取材に基づき小説としてまとめる。

年をとった小学生

 5キロ地点(残り85キロ)での休憩を終えると、車道から林道へと入っていく。暑い日ではあったが、木陰が増え、暑さはやわらぐ。自動車はほとんど通らない。林間の「ピクニック」だ。まだ、だれも疲れを見せない。
 快適な道のりは長く続かなかった。あれほどきれいに晴れていたのに、雨が降り出したからだ。大した降り方ではないが、山の天気は変わりやすい。シャワーのように降った時間もあったが、1時間ほどでやんだ。
 15キロ地点あたりで、猪苗代湖に出る。日本で4番目に大きい湖だ。青空の下、湖面は水色に輝く。10年前の小学生たちは一斉にジャンプして写真を撮るなど、大はしゃぎだ。
 美しい景色ではあったが、水に近づいてみると、「結構、汚い!」。ゴミはないけれども、植物の破片らしきものが溜まっている。これもまた、自然を体験することだろう。
 湖畔を歩くうち、日は傾く。道は湖畔を離れ、夜の闇が濃くなると共に、上り坂がきつくなっていく。前半で最大の難所だという。1時間あまりは上ったか。周りの参加者は、「この上りで終わりかな」などとつぶやくが、手元のスマートフォンに目を落とすと、まだまだ上りは続く。甘い登りではない。
 なかなか終わらない山道。既に出発してから7時間ほども過ぎたころだが、学生たちの話は途切れない。今度は、ラーメンの話が盛り上がっている。高校を卒業して福島を離れた学生たちは、各地のラーメンを自慢する大会になっている。「もう昔みたいに、たくさんは食べられないけど」。10年前の小学生も年をとった。
 ようやく食事休憩の19キロ地点。まだ、70キロも歩くのか。

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