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入門 スクールソーシャルワーク論

12面記事

書評

内田 宏明 編著
子どもの最善の利益目指す専門性とは

 複雑化する教育課題に対応するため、専門スタッフを加えた「チーム学校」体制の構築が求められる中、スクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールカウンセラー(SC)の具体的な役割の理解と協働の促進が十分ではないと、総務省が文科省に勧告し、その後、改善が図られたことは記憶に新しい。
 「学校における福祉とは何か」などで構成する序章「なぜスクールソーシャルワークを学ぶのか」に始まり、第I部「スクールソーシャルワークの原理と制度・組織」はスクールソーシャルワークの価値、教育行政の中の福祉職、多様な配置形態と学校種別の各章で現状での位置付けが語られ、学校福祉という考え方やスクールソーシャルワーク前史などを取り上げた章では職の発展過程が分かる。海外の動向を紹介した章は、日本との違いなどを考えさせられる。
 事例などを取り上げる第II部「スクールソーシャルワークの実践」は具体例からSSWの役割や動きへの理解が深まる。
 「入門」書とタイトルにはあるが、SSW職の本質に迫る指摘、分析が随所にある。「子どもの最善の利益」を求めることは教員も同じはずだが、道筋は一つではなく、SSWが学校を拠点にしてソーシャルワークすることの意味、意義を教えられた。不安定な非正規採用の在り方を見直し、本当の意味で「チーム」に加える必要があるのではないか。
(3080円 ミネルヴァ書房)
(矢)

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