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一刀両断 実践者の視点から【第209回】

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論説・コラム

恋愛を学ぶ場、必要では

 大学の教育力の埋没を止めないと学生を支援できない。こうした思いを日々強く感じている。すなわち一部の教員を除いて大半が学生の事を真摯に支援しているとは思えないからである。
 《部屋で襲われた後にベランダから転落し、さらに路上で刺されたか》(読売テレビ)という見出しで大阪・堺市女子大生刺殺事件が報道された。被害者は加害者と同棲していたようだが、殺人にまで発展してしまったのは、どこに要因があったのだろうか。
 繰り返しの指摘となるが、恋愛や同棲やセックスについてきちんとルールを学んでいないからであろう。こうした教育を不要とする学者もいるようだが、神でもないのだから欲望をどのように制御して人間関係をバランス良く生きるかは学ばなければならない事なのである。
 こうした人間として成長する中で通過する過程において起きる出来事を、きちんと伝えて、考えさせて、自省する事で多くのトラブルを回避させる事が出来るはずである。こうした一番根幹な学びを家庭でやるべきとしても、急ハンドルは切れないのだから先ずは学校ですべき事なのである。
 特に体の発達が顕著になる中学高校においては必須の事であり、講師は医師や心理士そして教師によるコラボが望ましいのではないだろうか。
 9月になると子どもの自殺が増えると心配されるが、死因は分からないことも多い。それはあまりに無関心と言えまいか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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