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一刀両断 実践者の視点から【第205回】

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教員養成課程に実践者を

 教員の採用もそうだが事務官の採用もチームとして取組む場合、よくよく見定めないと組織は停滞する。
 特に教職課程のある大学の教員採用は人物をきちんと評価できているとは思えない。論文実績などを基準に、学級担任も務まりそうもない人物を安易に採用している現状がある。
 実績よりも論文を基準に教員を採用するよう指導しているのは文科省である。実際に指導をした事もないのに、総合的な学習の時間の講義を教科指導のコマを持っているだけで持たせてしまう。
 情報の指導経験もないのに教科指導を他でもやっているからと持たせてしまう基準を文科が示している。
 泳いだ事もないのに泳ぎ方を教える者を用いている養成課程では、修了者を学校現場に配置してもペーパードライバーとなる。
 私はもっと教育実践者を養成課程に入れなければ、学校現場との乖離はますます広がると主張している。それをさせない障壁は文科の基準にある。
 教育実習のコマを持つためには教育実習の公に出している文章実績が必要とされる。これまで何十人も個別に指導をしてはいるが、本にまとめたりはしてはいない。この現場事情を知らずに基準を改めない文科は、何を考えて養成課程を認めているのだろうか。
 今の教員不足は、文科の見通しの甘さに全てが起因しているのは誰でも分かっている事であり、関係者や議員が学校職員や子どもたち、そして国民に謝罪すべきではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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