今年度からスポーツタイプのヘルメットを導入~9割以上が自転車通学、着用率のアップに向けて~
13面記事スポーツタイプの自転車用ヘルメットを着用して通学する吉富中学校の生徒たち
福岡県・吉富町外一市中学校組合立吉富中学校
地域によっては、中高生の欠かせない通学の足となっている自転車だが、いくら交通ルールを順守していても予期せぬ事故に巻き込まれる可能性もある。そのため、通学中の自転車用ヘルメットの着用を徹底し、万が一の際に生徒の大切な命を守ることが重要になっている。こうした中、全生徒の9割以上が自転車通学をしている吉富町外一市中学校組合立吉富中学校では、今年度からSGマーク認定でデザイン性に優れたスポーツタイプの自転車用ヘルメット(カワハラ製)を採用し、さらなる着用率の向上に努めている。
交通量の多い通学路 ヘルメットの重要性を実感する中で
現在、吉富中学校では全生徒数309名のうち、274名が自転車通学を行っている。最寄りにバス便がないなど交通事情がその理由だが、問題は地域の主要道路が目の前にあるため交通量が多く、通学路の道幅も狭いことから、毎年のように事故が起きていることにあった。
「したがって、私が赴任する前から自転車用ヘルメットの着用を義務化してきた経緯があります。実際に昨年も2件ほど自転車による事故がありましたが、もしヘルメットをかぶっていなかったら命にも関わるものでした」と話すのは、山本司校長だ。
このように自転車乗車中にヘルメットを装着する重要性を実感する中で、今年の新入生からスポーツタイプの自転車用ヘルメットを新たに購入できるようにした。きっかけは、近隣の高校がスポーツタイプのヘルメットを導入して、ほぼ全員がきちんと装着しているのを見たことだった。
というのは、周辺の小学校で登下校の見守りをしている方などから、同校の生徒がヘルメットを着けていないといった指摘を何度か受け、生徒の命を守るためにより徹底を図る必要があると考えたからだ。「従来のヘルメットは重たくて装着するのを面倒がる傾向もあったため、軽量で扱いやすく、今の時代に合ったデザインのヘルメットにすることで、装着率を高めたいというねらいがありました」
しかし、いざ問い合わせてみると値段が高く、これでは保護者の負担も大きくなることが分かった。そこで、販売店に相談したところ、近隣の学校も含めてある程度の需要が見込めることから、これまでと同じ値段で購入できることになったと振り返る。
交通安全指導との両輪で安全意識を向上
その結果、今年度は1年生を中心に、他学年での買い替えを含めて105名が購入。使い勝手がよく、通気性も優れているので生徒にも好評だという。来年度に向けては、現状Lサイズしかないため、Mサイズも追加してほしいと要望している。「首ひもで調整もできますが、個々に合ったサイズの方がより安全性を高められますから。また、価格が抑えられれば、高校用と同じようにヘルメットカラーも選択できるようになるといいですね」と期待する。
もちろん、ヘルメットの着用だけでなく、学校としては交通安全指導にも力を入れている。「豊前警察署の交通課から講師を招き、実際に事故の様子をスライドで再現してもらったり、自転車の乗り方を指導してもらったりすることで、交通ルールを守る大切さを実感できるように努めています。こうした甲斐もあって、今では100%近くの生徒がヘルメットを装着するようになっています」と手応えを感じている。
なお、自転車利用では自らが加害者になるケースも想定されるため、自転車保険の加入が不可欠だ。これについても、同校では保護者からの自転車通学の申請時にチェックする仕組みになっている。