開かれた協働と学びが加速する教室
14面記事河村 茂雄 編著
自律・協働性備える学級集団づくり
「指導力のあるリーダーがいる小集団などが中心となって、複数の小集団が連携できる中集団が形成され、学級の半数の児童生徒が一緒に行動できる状態」―。1学期を振り返った時、読者の学級は本書が示す「中集団成立期」(第3段階)にたどり着いているだろうか。学級集団を1年間かけて「自治的集団成立期」(第5段階)という高みへと引き上げる方法論などを解説したのが本書である。
授業改革での眼目となっている「主体的・対話的で深い学び」の実現に、学級集団の在り方が不可分と捉えているためだ。目指すのは「安定度と活性度が両立している学級集団」。子ども一人一人が尊重された上で、共通の目的の達成を目指し、達成するための方法には多様な選択肢が用意され、緩やかに結び付く集団という。
学級の成長を促すため、年度進行に応じ、ルール、リレーション、協働活動、指導行動別に、具体的な取り組みを明示する。また、「自律性」と「協働性」をキーワードにした指導行動のツボや、学級集団の自治性の到達度に応じた授業づくりのツボを示し、小・中・高校別の学級集団づくりのポイントなどにも焦点を当てた。
学校経営の中の学級経営、地域教育経営の中での学級経営まで俯瞰する材料を提供し、「個業」になりがちな学級経営から脱することの意義、効果も実感することができる。
(2420円 図書文化社)
(矢)