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デジタル・シティズンシップ プラス やってみよう!創ろう!善きデジタル市民への学び

14面記事

書評

坂本 旬・豊福 晋平・今度 珠美・林 一真・平井 聡一郎・芳賀 高洋・阿部 和広・我妻 潤子 著
中核的資質を培う実践例紹介

 学校教育が大きな転換期を迎えている。その一因がGIGAスクール構想による1人1台端末の推進である。この急速な変化に多くの自治体や学校現場が対応できていない。改革の初期に起こりがちな混乱である。
 これから求められるのは単なる「生きる力」ではなく、「デジタル社会を生き抜く力」である。
 本書は以前出版された「デジタル・シティズンシップ」に「プラス」を付けた第2作である。前作出版後、さまざまな誤解が生じたため、それを正すべく本書が出された。
 最初に情報モラルとの違い等、どんな誤解があったかをまとめている。またアメリカのNPOとハーバード大学が共同開発したカリキュラムや教材を紹介している。
 さらにデジタル社会で善き市民となる五つの中核的資質やその資質を発達させるための思考ルーチンを定義して、具体的実践例を挙げ、後半は著作権にも触れている。
 著者たちは、「30分ホラー営業」と自ら呼ぶ単発の講演会でなく、道徳も含め各教科の年間指導計画への位置付けを訴えている。
 デジタル社会への移行が急速に進んでいる現代において、これは必要不可欠な教育である。しかし、このままでは「また新たな○○教育」と受け取られかねない。そろそろ必修教科の枠組みを見直す時期が来ているのかもしれない。
(1980円 大月書店)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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