学習形態の変化に併せた教育環境を
14面記事 21世紀型スキルを磨く、子ども主体の課題解決型学習を展開するためには、どのような教育環境が必要になるのか。1人1台端末の活用で課題になっているのが、教室空間と教室机の狭さだ。教室の広さは戦後からずっと変わらないまま収納棚やICT機器などが追加されてきたが、新たに充電保管庫も備えることになったため、より一層空間的な余裕がなくなってしまった。
また教室机も、現在は旧JIS規格と、それを拡大した新JIS規格の机が使われているが、双方ともタブレット端末と教科書・ワークシートを並べて使用するには狭すぎるようだ。それゆえ、机の奥行を簡易的に拡張できるツールや落下防止ガードを設置する学校も多くなっている。
次に協働的な学びに適した教室といえば多目的教室だが、整備されていない学校はロッカーや充電保管庫などは別の場所に移す、余裕教室を再配分して3教室分のスペースを2学級分の空間として利用するなどの工夫を取り入れたい。また、新たに多目的教室を設計する場合は、壁や間仕切りも含めて多様な学習活動を生み出す要素として計画する、学校用家具の設置や活用まで視野に入れて検討していく必要がある。
子どもの自主的・自発的な活動を促すICT活用を促進するため、専用教室を設けたり、図書室を活用したりする方法もある。特に図書室は調べ学習と連続して、課題のまとめや発表などの場として使用できる。
集団活動の場となる学校現場は、学習だけでなく、コミュニケーション力や表現力を培う場でもある。ここ数年は新型コロナウイルスの蔓延によって、そうした社会性・人間性を養う活動が軒並み制限される形になったが、本来の公教育の良さは集団の活動の中でこそ育まれていくものだ。同じく、従来型の一斉授業の良さもあるが、今求められているのは子どもの主体的に学びに向かう力と、課題解決に向かって取り組む力を育成することにある。であるなら、学習形態も自ずと変わっていかなければならず、それに応じて教育環境も変えていく必要がある。