ジェネレーター 学びと活動の生成
18面記事市川 力・井庭 崇 編著
「創造社会」での教師像を提起
「教わることによって学ぶ」ことが中心だった消費社会では「ティーチャー」「インストラクター」型の教師像が、「コミュニケーションによる学び」が加わる情報社会ではコミュニケーションの促進、整理を担う「ファシリテーター」型の教師像がそれぞれ必要とされた。そして、「つくることによる学び」「創造的な学び」が求められる創造社会である今日、「ともにつくり、学び合う」「ジェネレーター」が必要だと著者らが提起したものだ。
「ファシリテーター」が取り組む人々の外側にいて支援、伴走するのに対して、「ジェネレーター」は取り組みのプロセスの内側(中)に入り、共に活動すると、違いを説明する。「スーパーフラットな関係」で、より良きものに迫るための学びと支援者の在り方を示す。
大学での実践からジェネレーターはどう誕生したのか(第1部)、小学生とのプロジェクトなどを踏まえてジェネレーターの役割とは何か(第2部)、ジェネレーターの成長、あるいはどう育てるのか(第3部)を解説し、例えば、教師のアイデアが優先されれば児童・生徒側の主体性はどこに行くのか、評価はどうするのかといった疑問にも本書は答える。
教師と児童・生徒が教え・教えられる関係を乗り越え、未知の課題に一緒になって取り組んだ総合的な学習の時間での教師の姿が重なる。これからの学びの支援者像として、共感できる教師も少なくないのではないか。
(2860円 学事出版)
(矢)