一刀両断 実践者の視点から【第178回】
NEWS学校事故、なぜ即対応ができないか
《小学校で児童が顔面骨折の大けが 学校は救急車を呼ばず…駆け付けた母親の通報で搬送され緊急手術》(CBCテレビ)という見出しの記事を読んだ。顔面強打となれば、即の対応が常識であり、救急車を呼ばない選択肢は考えにくいものである。その対応を教委は必要に応じて指導をするとしているところにかなりのずれが感じられる。
記事通りならその学校の危機管理意識はかなり低迷していると思われる。ここで母親が救急車を呼ばなければどうなったか。表に出さずに済まされた事になる可能性は大である。養護教諭の判断なのか、管理職の判断なのか、いずれにしても明らかな初動の間違いである。
しかしこうした出来事はそこかしこで起きている事を私は知っている。その後始末にばかり管理職として回された経験があるからである。
鉄棒事故があり、救急車を呼ばずに養護教諭と担任で病院を転々とした事により手遅れになった学校で、当時の管理職はご栄転となった。県教委幹部を務めた校長の赴任先が大荒れになり、支援に入ったがあまり来ると目立つので来ないように圧力が掛かった。教師が顔面強打で血の海になっても救急車を呼ばずに、被害届も出さずに治療費は校長がポケットマネーで済ませるという体質があった。それでも校長会長になるのだから呆れて言葉も出ない。
今回のケースもそこまで酷くはないだろうと願いたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)