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保健室でのアンガーマネージメント 保健室に逃げ込む子の“心の応急処置”

12面記事

書評

本田 恵子 編著
ワークシートなどの資料が豊富

 学校における保健室の重要性は言うまでもない。養護教諭は、児童・生徒の健康管理はもとより、時には教員のメンタルヘルスまで担っている。保健室登校など不登校対応や特別支援教育コーディネーターを兼務することも多い。
 子どもは、保健室では教室と違う顔を見せる。感情の高ぶった状態で来室することもしばしばだ。そのためトラブルの火種を抱えた子どもに対峙することになる。
 本書は、アンガーマネージメント研究会代表の本田恵子氏によるもので、既に同出版社から出た三つの本を包括するものだ。
 第1部の「4コマまんが」による適切な対応方法から始まり、第2部の「理論編」で基礎知識から発達障害のある子への対応、さらにコロナ禍におけるストレスとその対応にも触れている。そして第3部では現職の教員による実践例を掲載している。
 全体的にワークシートなどの資料が豊富で非常に分かりやすく書かれている。さらに本書に掲載されている各種資料のPDFをダウンロードして使用できるのもありがたい。
 本書は養護教諭だけでなく、一般の教員が読んでも大変参考になるし、保健室との連携が一層円滑になるだろう。
 ただ、養護教諭は日々児童・生徒や教員、管理職の相談にも乗っているが、自身のメンタルヘルスは誰が担うのだろうか。
(2420円 ほんの森出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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