働く人を見て、自分の未来を考えるきっかけに
2面記事山梨大学教育学部附属中学校・奥田陽介教諭
「『働く』ことについて子どもたちが考えるきっかけにしてほしい」という願いをこめて始まったアイデム写真コンテスト「はたらくすがた」(主催=株式会社アイデム)は、今年で17回目を迎える。キャリア教育の一環としてコンテストに取り組む学校が多く、コロナ禍にありながら昨年度は小・中・高校を合わせて7588作品が集まった。このコンテストに2018年から応募し、昨年の団体奨励賞に輝いた山梨大学教育学部附属中学校・奥田陽介教諭に、取り組みの様子や成果などについてお話を伺った。(以下敬称略)
身近な人が働く姿を通して今、自分が学ぶ意味を知る
―本コンテストをどのようにキャリア教育と絡めて取り組まれていますか。
奥田 本校ではキャリア教育を「生き方学習」と捉え、職業を知る、働く姿を見る、自己アピール力をつけるという3つの目的を持って行っています。さまざまなジャンルで活躍するOB、地元企業の方などを招いて話を聞く機会をつくっていますが、リアルな学びとして、身近な人の仕事場を訪ねて写真に収めるこのコンテストを取り入れることにしました。
写真にタイトルと短い文章をつけることは、自分の思いをアピールする力を伸ばすことにもつながります。本校は進学校に進む生徒が多いため、目下の目標は受験で職業選択への意識を持ちにくいのですが、職業を知ることで自分がどう生きるかをイメージしてほしいと思っています。
コンテストの取り組みとしては、夏休みの課題にしています。コンテストの応募フォームのほかに、被写体の職業の紹介(どうすればなれるか、勤務時間、資格の有無など)、その仕事を選んだ動機、仕事への思い・やりがいなどを取材し、職業を深く知って働く意味を考え、感じたことをまとめる欄を作っています。そして、夏休み明けに班で発表させ、教室に掲示しています。
―生徒に変化は見られますか。
奥田 「医師である父が真剣に仕事と向き合う姿をかっこいいと思い、医師になる夢が一層強くなった」「図書館司書の母が笑顔で働く姿を見て、家事と両立してどんな時も頑張る母は自分の誇りで自慢だと改めて感じた」など思いはさまざまですが、真摯に働く姿を見て、自分が安心して生活できるのは家の人が一生懸命働いてくれているからこそだと気づきます。
そして、自分が今すべきことは「将来のために、学んで力をためること」だと実感します。こういう機会がなければ自分が働く姿を見せることはできなかったと、保護者にも好評です。よく家の手伝いをするようになったとか、家庭での会話が増えたといった声を聞くと、双方にとってよい機会になっていると感じます。
―勉強する意味を知ることは大きな収穫ですね。
奥田 仕事は自己実現のための大事な要素ではありますが、生活の糧であることを知ってほしい。と同時に中学生の段階では、職業に対して現実的な見方をするだけでなく、働くことに夢を持ってもらいたいのです。「はたらくすがた」の取り組みは、その両面を感じてもらう体験となっています。
―働くことに希望を見出しにくいこの時代に、奥田先生は生徒にどんなメッセージを送っていますか。
奥田 確かに、未就職卒業者や若者の早期離職が問題になっていて、働くことにネガティブな感覚を持ちがちです。生徒には「進学がゴールではない。何十年か後に自分が目標とした生き方ができるように、高校で何を学ぶのかを考えよう」と伝えています。
私は今3年生を受け持っていて、学年テーマは「自律」です。「自分の力で生活し、正しく生き、心豊かな人生を送ろう。そのために力をため、どんな仕事に就いても力を発揮できるようにしていこう」とも話しています。
また、家族のために働くことが生きがいだという話を親から聞いて、「何をして働くかではなく、何のために働くかが大事だとわかった」という生徒たちの気づきがとてもうれしいです。今後は1、2年生にも紹介して、取り組みを続けてもらいたいと思っています。
第17回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」応募要項
テーマ
「はたらくすがた」
あなたの身のまわりで働く大人の姿を撮影してください。
応募資格
小学生・中学生・高校生(学校やクラス単位での応募も歓迎)
応募方法
専用応募用紙に必要事項を記入し、写真を貼りつけて応募。
ホームページ(https://www.aidem.co.jp/csr/photocontest/application/index.html)からのweb応募も可能。
応募締め切り
9月9日(金)(当日消印有効)
学校応募担当の先生へ
・応募用紙は必要部数を送ります。
・記入・貼り付け面のみのコピーも使えます。
・学校で取りまとめて応募の際は、応募者リストも送付ください。
・応募者リストはホームページよりダウンロードできます。
応募に際しての注意事項
・必ず、写る方に撮影と応募の許可をもらってください。
・応募作品は返却しません。
・入賞候補者には選考途中で元データを提出してもらいます。デジタルデータ・フィルムは入賞発表時まで必ず保管してください。
・入賞作品の著作権は撮影した方に帰属します。ただし、発表後2年間は主催者(株式会社アイデム)が優先して使用します。
・入賞作品はアイデム写真コンテストの広告及び広報物に使用します。このため受賞した方は主催者が各媒体で作品を使用することをご了承ください。
応募先・問い合わせ
〒160-0022
東京都新宿区新宿1―4―10 アイデム本社ビル9F
アイデム写真コンテスト事務局
TEL=0120-938-989(受付時間 平日10:00~17:00)