研修成果の確認を要望 教員の資質・能力評価も 自民党提言
1面記事自民党は14日、教員の指導力向上と学校のデジタル化推進のための二つの提言をまとめ、文部科学部会の山本朋広・部会長らが末松信介文科相に申し入れをした。来年4月から始まる新たな教員研修制度を巡り、毎年度、研修成果の確認を確実に実施することなどを求めた。末松氏は、「提言内容を重く受け止め、政策を前に進めたい」などと答えた。
学校デジタル化、好事例を横展開
教員の指導力向上の提言は、教員免許更新講習の廃止に伴い、研修受講履歴の記録を義務化する新たな研修制度が始まることを踏まえてまとめた。
提言では、教員がオンライン研修などを受講した際、研修成果を客観的方法で確認することを要望。これに関連し、教員の資質・能力を評価する仕組みを導入することも求めた。
大学や企業などの取り組みを参考に開発し、本年度内をめどに運用を始めることとした。具体的には、資質・能力を「ルーブリック」などの形で示すことを想定しているとみられる。
また、指導主事による授業観察や、児童・生徒対象の授業アンケートなど、教員本人以外の視点も取り入れて、指導力の向上体制を整備する。
研修の受講履歴の記録に関しては、効率的に管理・閲覧するため、国に、情報システムの開発を主導するよう要請した。オンライン研修の開発拠点として、教職員支援機構(茨城・つくば市)の機能強化を図る。
学校のデジタル化推進のための提言では、授業と校務、教員のDX(デジタル技術による変革)を求めた。
デジタル化について自治体が横並びでなく、できる自治体や学校から先に取り組み、好事例を横展開するという方針を掲げた。
授業のデジタル化では、「全国の教育データを匿名化した上で分析し、学校現場へのフィードバックを進めることが重要」と指摘。教育データサイエンスセンター(国立教育政策研究所)の機能強化などに取り組むことを要望した。
また、教員のICT活用指導力の格差を埋めるため、基本的研修プログラムを国が提供するよう呼び掛けた。
提言の申し入れ後に記者会見した山本部会長らは「来年度予算の概算要求に反映するとともに、可能なものから速やかに実行に移すことを求めた」などと話した。