「欲望の制御」を教えねば

　《千葉県教委が児童・生徒にセクハラ調査、381人に被害》という見出しの記事には正直落胆した。まだこんなにあるのかと責任を感じている。新任校長研修や人権教育研修を長年担当してきたからこそ、その責任の一端があるからである。
　被害にあった児童・生徒には申し訳ないという懺悔の念が強くある。私の講話にもっと説得力があったら防げたかも知れないからである。
　欲望の制御が人間にとって一番困難な事かもしれない。この一番大切な事を私たち教師はどこでどのように教えて来ただろうか。また、教育課程の中にしっかりと位置づけられているだろうか。とてもそうとは思えない。
　事件の予防の為に教員養成段階での欲望の制御を習得させるような講義が必要なのである。私は生徒進路指導論や特別活動論に位置づけてしっかりやって来ている。
　勿論、私が処分した事例を元にその顛末を伝えている。人生が崩壊していく様を赤裸々に教えるのである。これらの学習は我が事として差し込まないと自らの教え子から犯罪者を出す事になる。
（おおくぼ・としき　千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事）